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戦後70周年 和解の年に

2015年 9月 28日13:00

 8月、北京と上海に行き、鳳凰衛星テレビと上海東方衛星テレビに出演した。討論の議題はすべて三菱マテリアルと中国人元労働者の和解の問題であった。

 戦争中、日本政府は4万人余りの中国人を強制連行し、日本の鉱山などで過酷な労働につかせ、6830人が死亡した。1995年、中国人元労働者たちは日本政府と日本企業を相手に訴訟を起こした。しかし2007年日本の最高裁は、日本政府と企業が中国人を強制連行した事実は認めたが、すでに時効が成立し、中国政府も戦争の賠償を放棄しているとして中国人元労働者は敗訴した。

 この判決は法令上では理にかなっているかもしれないが、人情と道理から見れば承服しがたい。というのは、この判決では問題の根本的な解決にならないからだ。

 私は番組の中で、三菱マテリアルは最高裁の判決にもかかわらず、3千名あまりの元労働者に賠償金の支払いの決定をして和解を求めたことは大変意義があると言った。今回の三菱マテリアル行動は、元労働者に謝罪したことも含め、日本政府と企業が戦後外国人の被害者の訴訟に対して採ったもっとも誠実な事例であり、これは評価をするべきだと述べた。

 戦後70周年にあたる今年、三菱マテリアルの姿は日本企業が中国人元労働者に和解を求めた象徴といえよう。では、日本政府は三菱マテリアル同様、日中韓の和解をするのだろうか。これは安部首相の努力にかかっている。歴史の和解は、金銭で解決できるものばかりではない。まずは被害者の納得が必要で、心理的な面の和解が必要だ。「21世紀構想懇談会」が安倍首相に提出した報告書の中で、「満州事変」の後に日本が中国大陸侵略を拡大し、植民地統治を強化し、同時に戦後70年間、中韓と歴史的な和解をしてこなかったと明確に示し、どのように歴史問題を処理すべきか適切な意見や建議を行っている。しかし安倍首相は戦後70周年談話の中で、歴史問題に対してあたりさわりのない言い方に終始し、はてはそれを避けるような話をしており、歴史問題で中国と和解する絶好の機会を逃してしまった。

 中国としては、安倍政権が歴史問題に対し歴史に符合した話をし、被害を受けた国や国民の心情を理解して、彼らの心中に残る苦痛を慰めさえすれば良いのだ。もしこれができない、あるいはやりたくないということになれば、加害国政府のリーダーとして最低限の責任と立場がなくなってしまう。また中国との関係改善もできず、日本が中韓などの国との信頼関係を作ることは難しい。

銀座の街頭で出会った中国人観光客たちは、「日本は好きだよ。社会秩序があって礼儀正しい。品物の質も良いしね」という。でも彼らの心の中にも歴史の陰ともいうべきわだかまりがある。もしこのような歴史の陰を消すことができれば、両国は真の隣人·兄弟関係が築けるだろう。

 歴史の和解の実現には、被害国の政府と国民の理解と譲歩が必要だ。しかし当然加害国の日本政府の更なる努力が必要だ。双方が前向きに努力しさえすれば歴史の新しい1ページが開かれるだろう。歴史問題を80周年、100周年に引き延ばすようなことがあれば、後の世代に対し無責任なことだといわなければならない