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「中国製造2015計画」に注目

2015年 9月 28日12:59

 3月、全人代の取材のため北京を訪れた。全人代は一年に一度開かれる「通常国会」で、2015年度予算の審議、通過の他、一年の経済発展の方針を決定する。

 今年の全人代は、習近平政権の強力な反腐敗運動推進を背景に開催されたため、一般の代表(議員)はもちろんのこと、政治部長(大臣)も参加し、外国人記者の取材も大変少なかった。審議会での発言も慎重なものとなり、言い間違いや誤解によって面倒なことになることを心配した。そのため大会全体の空気もこれまでになく重く感じられた。

 我々日本の記者は一緒に集まり食事をしたりして「情報交換」していた。

 会って握手をし、座るとすぐに「今年の“両会”のテーマは何?」と言う。互いに見つめ合うが、誰一人として答えられなかった。

 実際13日間の大会期間中、誰も今年の中国全人代をとらえられなかった。「反腐敗大会?」いや新たな汚職の中心人物も特定されていない。「政治大会?」新たな任官や交代の話もなく、新理論や新思想もない。「経済大会?」新たな経済戦略や政策もない。「にぎやかで、それでいて変化ない」大会だったという感想に皆が落ち着いた。

 ある記者が「常態化」という流行語で彼の新発見を言い表した。今後中国の重大戦略と政策を見るには、中央委員会全体会議(全会)、全人代の意見や手続きに注目すべきだという。

 新しい見方のようだが、直近の2年を見てみると、中国の重大な方針の戦略は、確かに党の全会から発表があり、次に全人代に移るが、これは政府の側面の細分化と法制の手続きの履行に過ぎない。メディアから言うと新鮮味に欠ける。今年の全人代を取材する者すべての苦悩だ。何を報道すればよいのか。

 中国共産党の中国国家に対する管理は、過去に比べさらに戦略性と計画性を持ち、しかも厳しい。しかしまた誰が国家最高権力機構なのか論争を引き起こしてもいる。

全人代の取材中、私は鳳凰衛星テレビと上海テレビ、深セン衛星テレビの番組に出演したが、討論の話題はすべて日本の便座、炊飯器とメイドインチャイナについてであった。この話題は今年の全人代の話題ともなり、香港のスター、ジャッキーチェンが会場に現れるや、記者が「あなたも日本で便座を買ったことがありますか」と問い詰めたという。

 これらの番組で、中国の便座メーカーの社長たちとも会った。彼らは、中国と日本の便座の技術の差はほとんど同じで、現在日本の××ブランドの便座は彼らが生産し、日本の会社名を貼っていると打ち明けた。しかし、中国人は日本の製品を信用して日本で便座を買うことに奔走し、中国の製品を信用しない。つまり便座買付騒ぎは技術の問題ではなく、中国の消費者の気持ちの問題なのだ。そのため、全人代で、李克強は「万人の創新」をアピールし、中国の製造力と「メイドインチャイナ」の信望のレベルアップを提唱した。中国政府はすでに「中国製造2025計画」を策定し、巨額の経費を投入して、中国企業が今後10年内に製造力をアップすることを援助する。この動向は日本企業も注目すべきだ。

 今年の全人代には主題がなかったが、実際、主題はすべて具体的な行動の中に表れる。中国人はさらに着実に仕事をするように変わるだろう。