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粗悪な偽造品が日本製品の命を奪う

2015年 9月 8日16:25

  今年になってよく耳にする「爆買い」。中国人観光客には人気の商品なのに、日本社会ではまったくと言っていいほど売れていないものがあるという……。

中国にだけ認知されている日本の人気商品


  中国人観光客の急増で、日本各地でうれしい悲鳴が起きている。さまざまな日用品や家電製品、化粧品、雑貨、衣料品などを購入していく。その消費力に圧倒された日本人は「爆買い」という揶揄するニュアンスが入る新語を作りだした。
  こうした消費ブームをよくよく見ると、ある傾向が見えてくる。なかには、中国人観光客には人気の商品なのに、日本社会ではまったくと言っていいほど売れていないものがある。その一例は帆立貝殻を原料にして加工した洗浄剤だ。
  野菜や果物に付着している残留農薬やワックスを除去できるし、殺菌効果もあると言われている。ご存知の通り、食品安全問題が大きな社会問題にもなっている中国では、密かなブームを巻き起こした商品である。残留農薬などの規制が中国より厳しい日本では、野菜や果物の洗浄にそこまで力を入れる必要がないから、この帆立貝殻セラミック洗浄剤に対する市場需要はそれほど出ていない。だから、この商品は中国人観光客や中国市場にフォーカスしたものとなった。
  そのあまりにもすごい人気を見て、そこに商機を見出した商売人がいた。そこで粗悪な偽造品がたくさん出てきた。

特許取得号まで偽造した?と思われる「日本製造」

  こうした粗悪品を集めているなかで、次に気になった一例が見つかった。
  東京都新宿区に登録しているA社が「天然素材の除菌剤」として同類の製品を売り出した。その権威性を強調するために、包装箱に、取得した米国、ベトナム、日本、カナダ、中国の特許号を列挙した。
  同席した中国最大の法律事務所の弁護士が好奇心に駆られ、中国の特許データーベース「専利信息服務平台(特許情報サービスプラットフォーム)」を利用して、その中国の特許号を検索してみたら、信じられない結果が出てきた。その特許は無効と書かれている。
  そうなると、A社が発売したその「天然素材の除菌剤」の表記は見え透いた嘘か、それとも単なる作業ミスなのか、現時点ではわからないが、問題だと言えるだろう。ただ、このような状態では、品質と性能を売り物にする「日本製造」のブランドと商品イメージが著しく損なわれてしまう恐れがある。
  もちろん、より悪質なケースもある。日本製を謳って中国人観光客や中国市場に売り込もうとする問題商品がこの頃、急速に増えている。日本市場や日本の消費者との接点があまりないので、その存在は気付かれていない場合が多い。粗悪な偽造品が日本製品の命を奪いかねない。日本経済界もこの問題を重視して速やかに手を打つべきだと思う。