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千里離れても、今宵の月を共に眺めん

2015年 9月 17日10:28

 中秋といえば、お月見。「中秋の名月」という言葉は日本語にもあるように、旧暦の八月十五日にお月見をすることは日中共通である。中国人にとって、この日は一家団らんの日とも認識されている。それは、月がもっとも明るく、丸く、美しい中秋の月を家族団らんの象徴とみなされているからである。しかし、宋の蘇軾の水調歌頭「明月幾時有」という詞で描かれたように、「人有悲歡離合、月有陰晴圓缺、此事古難全(人には悲しみや喜び、別れ、めぐり合いがあり、月には曇ったり、晴れたり、欠けたり、丸くなったりする時がある。完全無欠な事はこの世にはない)」。単身赴任の時は特にそういうことが味わえる。

 「長い間家にいないので、日本の家にはもう自分の席がなくなるかも。食卓はもう妻のものになっちゃった…」

と上海出張中の日本の友人が心配している。

 「じゃあ、月餅を送ってあげれば?食卓の上に一席を確保するためにも。上海の杏花楼の月餅が名物だよ」

 「そうね。少なくとも食べられていないうちに確保できるね」

 冗談は冗談だけど、たまには出向先の名物で家族への思いを届けたら存在感が出るというのは確かである。

 蘇軾のその詞の最後にはこうなる。「但願人長久、千里共嬋娟(但だ願わくば、愛する人の久しく恙なきことを。千里離れても、今宵の月を共に眺めん)。それは日本ではあまり知られていないが、中国では中秋の名月に関わる名句である。それを月餅と一緒に送るのはお薦めである。千里離れても月餅を共に食べよう。

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