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爆買いと信仰

2016年 2月 29日11:00 提供:東方ネット 編集者:曹俊

作者:竇心浩    

  中国人観光客の「爆買い」は日本でホットな話題となり、言葉自体が2015年の新語·流行語大賞まで受賞した。観光庁の調査によると、外国人観光客の中で、中国人の一人当たり支出額が最も多いらしい。特に、買い物に使わった金額は中国人が断トツの世界一だ。大変不思議に思われるが、一体それはなぜだろうか。プルとプッシュという二つの角度から考えて、日本製品の高品質と中国人富裕層の増加がよく指摘されている。しかし、中国人観光客が購入した商品を見ると、必ずしも日本製ばかりでもないし、来ている観光客もみんな富裕層とは限らない。それでは、「爆買い」は一体なぜ起きたか、そう簡単に解釈できないようだ。実は、別に複雑な理論などを使わず、単に観光客の目線で眺めたら、「爆買い」の真相がある程度解明できる。

  確かに、基本的には国内メーカーに対する根強い「不信」が存在していることは「爆買い」を引き起こした重要な原因だと思う。食品や医薬品などにまつわる不祥事が続出して、中国国内の一部の企業がいま信用を失っている。さらに、監督制度やシステムの不備などもあり、商品の質を確保してくれるメカニズムが働いていないと思われている。こうした状況の下では、悪質商品から及ばされる被害を避け、自分で自分を守りたいという意識ばかり募っている。

  ただ、日本に観光客を引きつけてきた力は何だろうかというと、おそらく「信仰」の力と言わなければならない。中国から来た観光客の中には、給料がそれほど高くなく、お金を貯めてせっかくの海外旅行を手に入れた者もかなり多い。彼らにとって、いかに限られたお金を出来るだけ有効に使って、いいものを買うかも観光と同様に重要なテーマだろう。日本製の品物は質がいいということは、みんな良く知っているから、せっかく日本に来たから、必ず買うという心理は一般的だ。改革開放以来、既に四十年近くこういう意識が植えつけられてきた以上、このような信頼感は既に一種の信仰に昇華した。さらに、日本のメーカーが最も質のいい製品を日本国内に残しているという噂も、中国人の間ではほぼ常識となっている。同じように、中国製の商品でも、厳しい品質検査を受けて日本に輸入されたので、中国国内で販売されたものよりは質がいいと思われている。信仰になった以上、人々は簡単にはこうした思考枠から脱出できないだろう。さらに、信仰だから、根拠なくてもより多くの人が爆買いの群れについていく。

  いま爆買いはいつまで続くかと日本国内でよく議論されているが、爆買いが消えても、こうした信仰が存続している限り、中国人観光客が日本での買い物を楽しんでいくだろう。


(本文が作者の見方だけを代表する)

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